
中学受験の成否は親子の関係が大きな鍵を握ります。受験生である小学6年生は、自我は芽生えていても、まだ親に依存する部分が大きいからです。
しかも、最近の中学入試は知識より思考力を問う傾向があります。
日常生活や親子の会話を通じて自然に育まれる、情操や人間性が重視されるのです。
そこで、家庭のあり方が問題となってきます。
住宅が家族の関係を規定するとまでは言わないけれど、重大な影響を与えることは確かです。
間取りが引きこもりを誘発することもあれば、会話を誘発することもあります。
合格者の家の共通点は、子どもが親兄弟と自然にコミュニケーションできるようになっていることでした。
たとえば、家に帰ったら、まず母親のいるキッチンのそばを通ってから自室に入る動線。または、母親は炊事を、子どもは宿題をしながら会話が交わせるダイニングキッチン。
空間にコミュニケーションの仕掛けをつくる考え方は、オフィスの設計にも通じるものです。
知的創造を求められるときには、情報の共有や交換、議論による発展が欠かせないのです。
頭のよい子たちには、家の中を移動しながら、そのときどきで勉強場所を変える傾向があります。
環境は人間の思考に影響を与えますから、これは理にかなった方法です。
裏を返せば、固定した「勉強部屋」は必ずしも必要ないということになります。
かといって、子どもに個室はいらないということではありません。
小さいうちは親の気配が感じられるほうが安心だけれど、大きくなれば仕切りが欲しくなります。
子どもの成長過程に応じて空間も変化するのが理想です。
しかし、今の都市住宅では、そういうニーズに応えられていません。