
チンパンジーと人間の脳の大きな違いは、チンパンジーの前頭連合野の比率が人間の1/6しかないことです。
前頭連合野は、脳内に蓄積された記憶や知識を連携させて、複雑な行動計画を組み立てたり、物事の時間的な順序を弁別する能力と深く関わっています。
何らかの理由で前頭連合野が損傷を受けると、出来事そのものの記憶はあるのに、その時間的順序がわからなくなったり、絵を見ても一部分ばかりが気になり、分析的、系統的に見ることができなくなるといいます。
つまり、前頭連合野は物事を抽象化してとらえる能力と深く関わった脳の部位なのです。
また、サルの前頭連合野を損傷させると、眼球の運動障害や空間の知覚障害が現れることがわかっており、空間の知覚とも前頭連合野は深く関連していると推測できます。
前頭連合野がそのように大きくなった理由については、今から300万年ぐらい前の家族の発生と絡めて考えられます。
そこでの家族関係や家族間の社会関係が、前頭連合野の発達を促すことになったと推測されるのです。
つまり前頭連合野は、家族、社会関係などコミュニケーション空間の中で育まれるということが言えます。
「頭の良くなる家」とは、脳科学的な見地からすれば、前頭連合野を育むコミュニケーション空間を提供する家と言い換えることができるのです。